この社会では、いつも真実が真実のままに語られるわけではない。
個人の嫌な出来事も
組織の不祥事も
常にさらけ出されるわけではないし、話題にされる訳でも無い。
不祥事を起こした組織が必ず倒れる訳でも無い。
我が国で、ブラック労働で有名になり、死者まで出した企業が、僅かな罰金を科されただけで存続し、今も大きな影響力を社会に行使している事例を、我々は知っている。
だから不祥事を「無かったこと」として扱う事は、NGT48に於いても可能ではある。
ある程度までは。
劇場内やファンコミュニティでは、「過去の嫌な出来事に触れない」という暗黙の了解を通用させることができる。
何しろ私すら、メンバーのSHOWROOMライブ配信を訪れる時に、誰が相手であっても、事件の話題に触れるようなことはしない。
普段から事件の話をメンバーに振るほど、私も鬼では無いし野暮でも無い。
だがそれが通用するのは、劇場、公演、配信、握手会といった、ライブ会場や身内のイベント会場だけである。
あとはせいぜい、ツイッターでのメンバーのリプ欄くらいであろうか。
しかし、インターネットでは、(悪質な誹謗中傷は問題であり、それに法的措置をとることはできたとしても)事件を論じる(合法かつ公序良俗の範囲の)声を全て止めることはできない。
それ以上にそもそも、「あれ、どうなったんですか?」と企業や自治体から聞かれるのを止めることもできない。
その際に「民事の和解で出たことが全てだと思っております」という説明で納得するようなレベルの企業しか、今後スポンサーにつくことはない。
限られたファンの間だけで回す積もりなのであれば、それでも良いだろう。
だが運営(Sproot、Flora)は3期生募集を始め、テレビ展開も始めた。
そして運営は今後も「無かったこと」のまま、活動を続けるのであろうが…
新規ファンは絶対に増えない。
ステージ謝罪事件はあの劇場で起こった。
太陽は何度でも公演もあの劇場で行われた。
その過去を消し去ることはできない。
運営はファンを、いや人間を馬鹿にしているのではないか。
「忘れ去って、若い女の子が好きなヲタがまた集まって来る」
と考えて居るとしか思えない。
少しは来るかもしれない。
だがCD売上推移をみれば分かるだろう。
ペイするほど来るわけが無い。
「事件については絶対に触れない」
までならまだしも、
「卒業生のうち、触れて良い人と、触れてはいけない人がいます」
というコードを、わざわざ覚えて、アイドル集団を応援に来る人が、一体何人居るというのか。
あらゆる業界で、ドレスコードは敷居を上げる方向に作用する。
NGT48には、「卒業生コード」が存在するが、どう作用するかは、既に明らかな筈である。
今の運営には、その敷居を下げるつもりは無いらしい。