NGT48をみるブログ「三鶴の黄昏と黎明」

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NGT48暴行事件の理解に、第三者委員会報告書が役立つ理由

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NGT48暴行事件、その真相は!?

をテーマにするYOUTUBE動画がまた出ました(荻野由佳氏を出演者としています)。

その動画は第三者委員会報告書を全く無視した内容になっています。

 

どうして第三者委員会報告書を無視する人がこんなに続出するのかよく分かりません。

あの報告書は過小評価されています。

NGT48事件史の「第三者委員会」ページでも書いている内容ではありますが、ブログ向けに文章を噛み砕いて、

限界はあるが使える理由

を挙げていきます。

というか

この第三者委員会報告書の大枠から外れて語るのは、法的リスクが極めて大きいとすら言えます。

 

限界はあるが使える理由

【1】弁護士13名が関わっている

三者委員会を構成する弁護士は、以下3名です。

委員長:岩崎 晃 弁護士(岩崎法律事務所)
委員 :木内雅也 弁護士(赤坂森の木綜合法律事務所)
委員 :髙山 梢 弁護士(真和総合法律事務所)

そして調査にあたり、補助弁護士が10名参加しました。

 

弁護士が「調査不足」「不利な事は書かない」をやる事はあるでしょう。

しかし「ウソ」「虚偽」を書くとは考えにくいものです。「書かない」のと「ウソを書く」は、レベルが違います。

しかも関わった弁護士が、補助弁護士を入れて13名です。

13名の、事務所の違う弁護士同士が、「ウソを言う事で結託する」とは、考え難い。

そんなリスクある虚偽を、交流が日常的でも無い13名の弁護士が、一人も脱落者を出さずに、たった1ヶ月半で作り出せるとは、考えられません。

 

【2】誰も当該報告書を全否定しなかった

【2-1】松村匠、早川麻依子、岡田剛

松村匠(当時AKS取締役)は、当該報告書を基にして全員不問と言う結論を出し、当該報告書自体を全否定はしませんでした。

つながりの定義について勝手に解釈して山口真帆さんから突っ込まれていましたが、松村匠も当該報告書を全否定した訳ではありません。

むしろ松村は当該報告書に基いて結論を出しています。

その結論とは

今までのNGT48内での私的領域でのファンとのつながりを含め、風紀の乱れ全般は今回は不問に致します。(マイナビニュース2019/03/23

であり、「つながり」があった事、そして「風紀の乱れ」があった事を、報告書の会見で認めていました。

また松村匠は記者会見で、この調査報告書の内容は事実と捉えているのかという朝日新聞の質問に対し、

書かれていることは事実でございますね。(THE PAGE 2019/3/23

と認めています。

さらに松村匠は同会見で、あいさつもつながりに含まれるというのは誤った解釈であったと認めています(産経新聞2019.3.22wezzy2019.09.20)。

【2-2】山口真帆さん

山口真帆さんは、「『私が聞いたことがちゃんと書いていない』『自分が言ったことが書かれていない』と述べた」と、早川麻依子(当時NGT48劇場支配人)が述べています(マイナビ2019/03/23)。

どこまで早川発言を信用できるかは不明ではありますが、早川が上記内容を述べた時には山口さんは反論ツイートをしていません。

 

一方で、山口真帆さんは自身のツイートで、「報告書に書いても居ない事(挨拶もつながり)を述べるのは勝手な解釈」と会見時に松村匠を批判しましたが(テレビ朝日「NGT山口の“反論ツイート”全文」2019/03/22)、報告書をベースに運営を批判した形であり、報告書を全否定はしていません。

 

山口真帆さんは報告書を完全とは考えていなかったでしょうが、全否定はしていません。

もし仮に報告書を全否定するつもりがあれば、あの記者会見時にそうツイートしたと思われますし、それは可能でした。

【2ー3】他メンバー

当該記者会見時点と直後で、他のNGT48メンバーも報告書を全否定しませんでした。

当時、ネットに発信手段を持って居たのは山口真帆さんだけではありません。

記者会見直後、ツイッターフォロワー数10位以内に入っていたのは、当時のフォロワー数画像があるまとめを参考にすれば、以下の通りです。
(敬称略)
1位:山口真帆(約14万6千)
2位:荻野由佳(約13万5千)
3位:中井りか(約12万5千)
4位:加藤美南(約4万2千)
5位:本間日陽(約4万)
6位:高倉萌香(約3万1千)
7位:菅原りこ(約3万)
8位:太野彩香(約2万8千)
9位:小熊倫実(約2万8千)
10位:西潟茉莉奈(約2万7千)

結果的に「NGT48で最大の影響力を行使したのは山口真帆さん」という事になりましたが、記者会見当時の潜在能力で言えば、この10位以内の人物の誰かが報告書を全否定するツイートをしても、世論にインパクトを与える事は可能だったでしょう。

この10位以内の人物のうち、2019年1月から3月22日までで、マスコミ記事で特筆されていないメンバーは、事件関係の言動ではほぼ無風であった高倉さんくらいです。

高倉さんには前例はありませんでしたが、高倉さんを含め全てのメンバーが事件につき何かをツイートすれば、ほぼ100%、複数のマスコミが記事にしたと思われます。

実際、当時7位の菅原りこさん(但し菅原りこさんもこのツイートで「急浮上」しており、それまでは10位圏外でした)が以下のツイートを3月22日に行った際、

ただ真面目にアイドルをしていただけなのに…
皆さんの笑顔が見たいだけなのに…

悲しい…
午後3:04 · 2019年3月22日

このツイートを元に、スポーツ報知2019年3月22日サンスポ2019.3.22マイナビニュース2019/03/22ロケットニュース2019年3月22日といった媒体で記事が出ました。

山口真帆さん以外のメンバーが、(事件に直接触れずとも)一言ツイートする」だけで、これだけの記事が書かれる状態でした。

2019年1月に中井りかさんの一挙手一投足が報道されていたのは、テレビ番組に中井さんが多数出演していたという事情のある別格ですが…(詳細は中井りかさんと山口真帆さんについてを参照)。

小熊倫実さんが山口真帆さんについて「大好きな自慢の副キャプテン」と言及したツイートや、中村歩加さんの苦悩が記事になるなど(jcast2019年01月21日)、3月22日の当該報告書説明会の手前でも、「NGT48メンバーが事件について何かを発信すれば、ほぼ必ず記事になる」状態でした。

事件と山口さんについて殆ど言及しなかった荻野由佳氏も、複数の言動が記事になっていました(日刊スポーツ2019年1月13日)。報告書発表日21日にスイカパンを食べている旨のツイートが炎上した事がネット記事になるほど、注目されていました(しらべぇ2019/03/22)。

こうした条件で、メンバー全員が、当該報告書を否定する発信をしませんでした。

三者委員会報告書を否定する意向がそもそも無かったか、否定できない事情があったかは不明ですが、いずれにせよ、「これだけの影響力のあるメンバー達が、全員、報告書を批判しなかった」事実は軽くありません。


「運営が当該報告書を否定する言動を禁じていた、つまり運営も当該報告書を否定できなかった」
か、
「メンバーは完全な自由意思で当該報告書を否定しなかった」
の、どちらかです。

【2ー4】暴行犯

暴行犯が第三者委員会報告書をどう捉えているかは不明ですが、言い分を述べる機会をAKSから、そして第三者委員会から与えられているにも関わらず、これに応じず、自らの言い分を述べる機会を逸しているのは、暴行犯達の責任です。

「呼ばれていないから、法廷で発言する機会が与えられなかった、茶番民事裁判における山口真帆さん」とは、全く性質が異なります。

有り難くも言い分を述べる機会を貰えたのに、丙が「出禁を解いてくれるなら考えるよ」との趣旨のふざけた返答をしている時点で、暴行犯には誠実さの欠片も無い事が示されて居ます。

【3】唯一最大規模の本格的調査

三者委員会が行った書面調査は以下のようなものでした。

  • メンバー41名のうち(体調不良欠席者1名、兼任(柏木さん)1名、山口真帆さんを除いた)38名を、4か所にわけて実施
  • AKS関係者は同席せず。
  • その書面には記名か無記名かを自由に選ぶ事ができた。
  • そして24名が記名し、14名が無記名であった。

面談調査は

  • 事件当時のメンバー42名、AKS役職員24名、メンバー及びAKS役職員以外14名の合計80名が対象
  • 委員弁護士ないし補助弁護士の2名が一組(メンバーの聴取に際しては、2名のうち1名は女性)
  • 各対象者の供述内容を裏付ける資料等がある場合は、その提出を求める

という形で行われました。

その他にも様々な資料・実地調査を弁護士達が行っています。

ここまでの大規模な公式調査は、NGT48暴行事件において類例がありません。

当該報告書に、当該委員会による調査の前の社内調査の経緯説明や結果説明が無い事を鑑みても、当該委員会が引き継げる規模と質の社内調査は無かったと考えるのが妥当です。

マスコミ記者達にも、80名から話を聞いた人はいないでしょう。

つまり当該第三者委員会による調査は、唯一、大規模な公的調査が行われた機会でした。

東洋経済の竹内記者も、久保利弁護士の辛口評価を紹介し、当該第三者委員会の欠点を指摘しつつも、2019年3月5日時点で「それでも、現時点で実効性がありそうな現実的な動きとしては、この委員会の活動のみである。走りながらの改善を望むと同時に、随時チェックしていくのがジャーナリズムの務めだ。引き続き、取材や情報収集を進め、今後の推移を見届けたい。」と述べ、第三者委員会の欠点を認識しつつも、当時実効性がありそうな唯一の現実的な動きであったと捉えていました(東洋経済2019/03/05)。

【4】他メンバーが告発するリスク下で発表された

訴訟等において関係者のSNS発信にも意を用いる事の多い弁護士から成る当該委員会が、「メンバーが自分達を批判し始める可能性」を考えなかった事は有り得ません。

【4-1】メンバーが批判を始める可能性

山口真帆さんが当該報告書を批判するリスクだけではなく、

  • 全1期生メンバーが、発信する気になれば即座に発信できるツールを持って居る
  • マスコミが即座に記事にする環境

一般企業と異なり、強力な発信手段と、濃淡はあれ知名度があるアイドルグループのメンバー達を相手にした調査で、弁護士達は「メンバー達から『そんな事言ってません』のみならず『正直に答えたのに何で書いてくれなかったんですか』とネットで告発されるリスク」を考えて報告書を書かなければなりませんでした。

さらに、「第二、第三の告発者」が出る可能性も、2019年2月・3月には十分ありました。

弁護士13名全員がNGT48の狂暴な一部ファンのような奇異なアイドルオタクで、「告発するヤツなんてとんでもない!アイドルは告発しないのが普通!」と発想する人達…などという事は有り得ず、第二第三の告発者が出た時に、自分達が吹き飛ばないように危険回避は考えた筈です。

 

つまり(多様な立場の)全メンバーにもある程度配慮した内容になっていると考えられます。

 

【4-2】つながりメンバーが発信する可能性

「山口さん以外のメンバーからの発信のリスク」は、「山口真帆さん側に立つメンバーからの告発」に限られる想定ではありません。

 

例えば

「私がせっかく正直に告白したのに、弁護士先生が全部無視してしまいました」

等の、「疑惑メンバー・つながりメンバー側からの告発」が、ツイッター等で他メンバーからなされる、というリスクも、理論上は存在しました。

当該委員会報告書には

本件事件後に、数名のメンバーがファンとの「つながり」があったとして自ら申告していること

(書面調査で、メンバーは)真摯に回答を記載していた

36名のメンバーから、他のメンバーとファンとの「つながり」に関する供述があった。その際、12名のメンバーの名前が具体的に挙がった(三鶴注:この「12名」がのちに独り歩きした点は否めない。また12名全員が実際につながっていたかどうかまでは、委員会は掘って居ない

…といった記述がある事からも、メンバー達は自分達NGT48の問題を(世間で思われているよりは誠実かつ深刻に)捉えていたわけで、委員会もそれは承知したはずです。

 

したがって、当該第三者委員会には、山口さんと山口さんの仲間からの批判のみならず、つながりメンバーからの「せっかく正直に色々答えたのに、弁護士先生が無視しちゃいました…」などとネット告発されて吹っ飛ぶ危険を回避する動機があったと言えます。

 

【5】法的な「安全牌」である。

これは性格と次元の違う、技術的な「役立つ理由」になります。

 

一般人が事件を追い、発信するにあたり、当然名誉毀損等の法的リスクは考えなくてはなりません。

三者委員会報告書は、当該委員弁護士3名が「ここまでなら書いても名誉毀損には当たらないだろう」と考えたラインが明示されています。

そしてAKSも、第三者委員会報告書を見て「第三者委員会弁護士達を訴えてやる!」とは言いませんでした。

 

つまり「ここまでなら、言っても(言い方にも慎重に丁寧に気を付けなければならないが、内容としては)まず大丈夫」と言えます。

 

但し、当該委員会報告書も、疑惑メンバーにつき実名を一切記述していない事は忘れてはなりません。

同定可能性は「B」「C」表記でも存在するにせよ、インターネットでの検索結果に直接的に影響を与え得る実名表記と、アルファベット表記では、扱いに差がある事は、一般人は重々理解し、慎重に振る舞わなければならない所です。

 

【6】委員会への報酬4470万円

株式会社AKSは、第三者委員会に4470万円を支払っています(産経新聞2019/7/15)。

元々第三者委員会は、報酬を支払う会社に不利な事も調査し公表する存在とされますが、それでもお金を払ってくれる企業に対する忖度や斟酌を働かせないのは難しいのが現実です。

つまり報告書の内容は、ギリギリ一杯、AKSに配慮した内容であり、これ以上AKSに有利な内容は出ないであろうラインが、この報告書だと言えます。

(逆に言えば山口真帆さんほか一部関係者に有利な内容は出てくる可能性は残されています)

 

初心者YouTuberとかは、まず報告書を読もう

繰り返しになりますが、書面調査38名面談調査80名、その他資料・実地調査、それらを弁護士が行うという大規模調査は、NGT48暴行事件を巡って行われたのは、この第三者委員会によってだけです。

 

そして事件から時間が経ってしまった今、これ以上の大規模調査はもはや不可能でしょう。

それ以上の「真相」を追うのは、相当なハードルの高さがあります。

例えば会社の登記簿謄本や、行政資料の文書公開で、会社が自治体に示していた見解を調べるといった手法があり、これはintentionさんはじめ多くの方がトライしていますし、私も多くお世話になっています。

 

しかしいずれも第三者委員会報告書を全否定するような内容は出ていませんし、これからも出ないでしょう。

 

どうして第三者委員会報告書をガン無視して、報告書から大きく外れた新奇な話に飛びつく人が後を絶たないのか、理解に苦しみます。

 

 

マンガ

報告書が文章として長いという方は、報告書に則ったマンガがありますから、そちらをまずお読み頂ければと思います。

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