NGT48暴行事件(2018年12月8日発生、2019年1月8日露見)から4年半(※本ブログ作成当時。2024年6月現在で5年半)が経ちました。
NGT48暴行事件って何だっけ?という方は、まず上記リンク先2つを御覧下さい。
本来ならもっと風化していて良い筈の事件ですが、
運営会社が欠席裁判を行い火に油を注ぎ続け、
それに応じた悪質外道ファンが暴行被害者を毎日ネットで陰謀論で名誉毀損と誹謗中傷をし続けることで、
事件概要
- 2018年12月8日:NGT48暴行事件発生、山口真帆さんが男2人(ストーカー2人)に襲われる。
- そこから1ヶ月間、運営、対処せず。
- 2019年1月8日~9日未明:山口真帆さん、ネットで事件を告発。告発には、運営が何も対処してくれないこと、暴行犯らとつながっていたメンバーの存在、同じような事件が起きたらどうするのかという懸念が含まれていた。
- 同年10日、山口真帆さん、NGT48劇場のステージで謝罪を強要され、さらにテレビ、ネットで大炎上。
- 同年3月22日、運営会社、全てのメンバーを(新たな証拠が出ても)不問にする事を発表。
- 同年5月18日、山口真帆さん、NGT48を卒業。研音に所属し、今は女優として活躍中(2023年に研音を退所しましたが、ミュージカルに出演するなど順調に活動中)。
その後、分かった詳しいことは、以下、その一部を書いて参りますが
長文が苦手な方は、以下、
「マンガ」「動画」
の部分を選んで読んで頂ければと存じます。
真相は?極論も、喧嘩両成敗も、誤り
4年半が経ち、「あれ、どうなった?」という話題になった時に、両極端な意見が、動画配信者やツイッターで散見されるようになっています。
- 「実は真相はこうだった」(全部分かってる系)
- 「実は事件は何も解明されていない」(全部分からない系)
どちらの極論も誤りです。
また、「何も分かっていない」と言いながら、「被害者の言い分『も』疑わしい」などと、安易に「喧嘩両成敗」みたいに述べる場合、法的責任が問われかねません。
被害者がいる刑事事件であるという事は、語る際の大前提です。
先にまとめ:結論
「事件の真相」(分かって居る範囲)については、
- 第三者委員会報告書に書かれている程度までは、分かっている
- 山口真帆さんの言い分は、概ね同報告書で認められている
- 細部では分からない所は残っている
- 運営会社、特に吉成夏子社長への責任追及は極めて不十分だった
が正解です。
以下、詳述していきます。
第三者委員会報告書
第三者委員会報告書は堅い
あの事件では、運営会社AKSによって、第三者委員会が設置され、委員となった弁護士3人が(補助弁護士10名と共に)調査をしました。
こうしたことで、第三者委員会にも問題が多々あった事は事実です(NGT、厚労省、日大にみる第三者委員会の不可解 不祥事になると必ず出てくる「伝家の宝刀」 | テレビ | 東洋経済オンライン)。
しかしながら、犯人以外の全方面の関係者80名から面談調査を行った大規模な調査は、NGT48暴行事件を巡って、他に行われていません。
AKS取締役であった松村匠も「(報告書に)書かれていることは事実でございますね」と、2019年3月22日の記者会見で、朝日新聞の小松隆次郎記者に答えて述べています。
生放送されていた記者会見に際し、運営会社に対する反論を生でツイートした山口真帆さんも、報告書を全否定はしていません。
NGT48の公式サイトには、第三者委員会報告書がアップされています(2023年5月27日現在もです)。
- 暴行被害者が全否定していない
- 運営会社役員(公式サイト含む)も肯定している
- 弁護士3名が(調査には弁護士10名の補助を得て)書いている
この報告書は、それなりに「堅い」と評価して差し支えありません。
第三者委員会報告書が使える、発信者・配信者向けの理由
これはツイッターでの発信者や、YOUTUBE配信者などにはテクニカルな話になりますが
何か名誉毀損といった問題で、意見の発信者が訴訟を起こされたり、警察から捜査されたりした時に、
「弁護士3人が書いた、第三者委員会報告書にこう書いてあったので、そうだと信じました」
と言えるのは強いです。
これが例えば
では、裁判官や警察官・検察官に対し、説得力ゼロです。
YOUTUBE配信者などがこの事件に触れたいなら、第三者委員会報告書を一読するのはマストです。
「第三者委員会報告書に書いてある範囲」で語ることは、配信者の自己防衛につながります。
マンガと弁護士動画
マンガ(第三者委員会報告書を基にしている)
「委員会報告書、文字の山じゃないか」と思われた方は、
委員会報告書に基づいた漫画がありますので、リンクを貼っておきます。
動画:不起訴について弁護士解説YOUTUBE
不起訴理由につき、分かり易い解説動画です。
つながり
つながりの有無
NGT48暴行事件で議論が分かれているのは、
「暴行犯らとつながっていたメンバーが、何をどの程度やったか」
です。
「つながりの有無」
については議論は分かれません。
暴行犯らと一部メンバーのつながりがあったことは確定しています。
>②丙(ブログ主注:暴行犯一味)と複数回個別に会っていたメンバーがいること
>⑦本件事件後に、数名のメンバーがファンとの「つながり」があったとして自ら申告していること
②と⑦については断言しています。
マネージャーについては
>メンバーから、他のメンバーがファンと私的領域で接触していると相談された場合、「証拠がない」などとしてこれに取り合っていなかったことや、メンバーからファンとの私的領域での接触を告白されていたにもかかわらず、マネージャーは何も対処しなかったことがあった。その結果、メンバーの中にはマネージャーに相談しても何も解決しないと考える者が存在していた。(強調引用者)
当時支配人だった今村悦朗については
>ファンと私的領域において接触した(「つながり」をもった)メンバーの処遇については、「証拠がない」とだけ言って、申告を排除し、それ以上、調査を行わずにいたようであるし、逆に、「証拠があれば処分するのか」との問いかけに対して、前記のとおり、契約上、簡単には解除ができないし、何らかの処分権限が認められているわけではないにもかかわらず、「処分する」と回答するなど、その場しのぎの対応をする場面もあった。このような場当たり的な対応が行われてきたことが、一面では行き過ぎたファンの活動を助長し、一面では、メンバーのファンとの私的領域での接触を持ってはいけないという自覚・意識を希薄にさせる要因となった可能性も否定できない(強調引用者)
手厳しく書いています。
「暴行犯の一味である丙とのつながりも含め、一部メンバーとファンのつながりはあった」
というのは第三者委員会の公式な結論にほかならず、
上記におけるマネージャーや今村悦朗支配人についての論評も、それが前提となっています。
また、松村匠取締役は記者会見で、事件の遠因となったつながりについて山口真帆さんに謝罪したいメンバーは居るのか、との記者からの質問に対しては
「それはございます」
と答えていて、
- つながりが事件の遠因となっていること、
- それを認識してるメンバーの存在は、
あっさり認めています。
これだけ、
にもかかわらず、一部メンバーと暴行犯等とのつながりについて
- 「山口真帆の言い分は否定された」
などと吹聴したり、
- 「どちらにも言い分があって」
などと安易に「喧嘩両成敗」でお茶を濁すのは、山口真帆さんに対する名誉毀損であり、かつ陰謀論の類でしかありません。
メンバーの刑事責任は否定されているが
警察から事情聴取を受けたメンバー達が、送致されていないこと、証拠が無かったことから、
>メンバーが被疑者らとの間で何らかの共謀をして関与した事実は認められなかった。
と第三者委員会報告書は述べています。
メンバー達の刑事責任については、否定されているものと述べる事ができます。
一方で、第三者委員会発足前、2019年1月17日の段階で、新潟県の溝口副知事は、公開された公文書で、
「世間は違法行為がないということを問題にしているわけではない」
という趣旨の事を述べていた事が分かっています。
【NGT48新潟県庁文書、溝口副知事レク要旨⑦】
— intention@NGT48問題調査班 (@your_intention) 2022年7月26日
NGT48山口真帆さんへの暴行事件に端を発した騒動のAKS謝罪訪問について 溝口副知事レク要旨
日時:平成31年1月17日
(補佐)
15日にPR業務を委託している■■を通じて文書が届いた。 pic.twitter.com/FMwvgQvJk5
「疑惑を持たれているメンバー達にも、刑事責任は無いであろう」
ということは、2019年1月の段階で既にマスコミでも報道され、世間にも概ね共有されていました(少なくとも「メンバーを逮捕しろ」などといった世論は起きていません)。
「刑事責任は無いから不問にする」という姿勢は、普通の組織なら考えられません。
例えば遅刻で刑事責任は発生しませんが、その時間分の給与が削られたり、指導にもかかわらず繰り返されたりしたら減給されたりします。
この世の責任は「刑事責任」だけではできていません(申すのも馬鹿らしいほど当たり前の話です)。
誰だ(図とともに)
誰がつながりメンバーであったのかについては本ブログでは書きませんが
「山口さんと敵対しなかった1期生メンバーが誰か」についてはハッキリしています。
下図で、水色で名前が書かれているメンバーは、山口真帆さんに敵対していませんでした(なお、荻野由佳氏は、山口さんに非好意的ではあっても、事件への関与は無かったと私は考えています)。
なお、ドラフト3期生と2期生は、当時、ツイッターなどの発信手段が乏しく、判断材料となるものも少ないのが現状です。
ただ、加入して1年も経たないD3・2期生が、事件に深い関与ができたとは考え難いでしょう。
その他の「水色メンバー」の詳しいことについては、下記リンクをご参照下さい。
特に中井りかさんは、事件前からのアンチが居た事で、かなりひどい風評被害を受けました。
民事裁判
民事裁判は、被害者不在の欠席裁判
運営と暴行犯が和解した裁判には、被害者である山口真帆さんは呼ばれませんでした。
民事裁判では、訴訟当事者から呼ばれなければ証言できません。
文字通りの欠席裁判でした。
にもかかわらず、運営と暴行犯が事件を薄めようとした内容を利用し、「暴行事件の真相はこうだった」と、NGT48ファン一部、西潟茉莉奈ファン一部、荻野由佳ファン一部が宣伝する材料にされています。
図
民事裁判については、弁護士がどのように評価したか、下記に図を貼っておきます。
弁護士のブログ等
- 司法記者の倫理(NGT裁判の報道の在り方) - 弁護士 師子角允彬のブログ
- 非典型的な被告の行動・陳述書に基づいた事実拡散の危険性(NGT裁判) - 弁護士 師子角允彬のブログ
- 和解内容の評価(NGT裁判) - 弁護士 師子角允彬のブログ
弁護士のYOUTUBE動画
連続事件が発生していたNGT48
山口真帆さんが、事件が続く事を懸念されたのは杞憂ではありません。
NGT48では連続事件が発生していました。
マスコミが報道した未解決事件だけで7件を数えます。
- 2016年6月9日:中井りかさんと奈良未遥さん配信中不審者絶叫自宅特定事件(ジャージャー事件)
- 2017年6月5日:中井りかさんと長谷川玲奈さん配信中不審者絶叫自宅特定事件
- 2018年1月(正月):加藤美南氏実家への年賀状到達・実家特定事件
- 2018年6月10日公表:中井りかさんへの4回の殺害予告と実家特定拡散事件
- 2018年8月8日公表:村雲さん在宅中・不審者玄関侵入未遂事件(ドアガチャガチャ事件)
- 2018年8月14日公表:荻野由佳ら2人連続拉致未遂事件
- 日時・件数不明:バス降車後尾行事件
- 2018年12月8日:山口真帆さん暴行事件(NGT48暴行事件)
- 2019年1月8日:長谷川玲奈さん宅住居侵入被害疑惑
- 2020年1月26日から27日にかけての深夜:中井りかさんつきまとわれ事件
これほどグループの治安が悪化している中で、山口真帆さんが泣き寝入りしていたら、次にどのような事件が起きていたか分かったものではありません。
運営会社について
この事件では、メンバーが暴行犯一味とつながっていたというショッキングな面が焦点になりがちですが、
- 厄介なマネージャーは事件直後の公園で、犯人に寄り添って警察官に犯人の言い分を代弁し(暴行犯に寄り添う、NGT48の厄介なスタッフ - Togetter)、
- 今村悦朗支配人は事件露見後、雲隠れし、
- 松村匠取締役は、新たに証拠が出てきても全メンバーを不問にすると、記者会見で明言し、
- 吉成夏子社長は山口真帆さんに「会社を攻撃する加害者」と言い放つ (【弁護士の見解】NGT山口真帆の卒業 発言すべて事実なら組織的パワハラ/芸能/デイリースポーツ online )
- 早川麻依子新支配人は、山口真帆さんの卒業後に、山口真帆さんへの攻撃を始める
- 暴行犯との民事裁判は、被害者が呼ばれない、文字通りの欠席裁判
など、滅茶苦茶な運営会社AKSの存在がありました。
本事件は芸能界において、芸能事務所がどうあるべきかが問われる事件でもありましたが
道義的問題以前に、NGT48運営があまりにも悪手続きだったことで、どこまで一般的に参考になるかさえも分からない惨状でした。
外部リンク
その他、詳しいことが分かるサイトを、以下に列挙させて頂きます。
マスコミ記事
NGT48事件史サイト
- サイトマップ - NGT48事件史(NGT48暴行事件ほか)
- 弁護士達の見解 - NGT48事件史(NGT48暴行事件ほか)
- 暴行の事実認定と根拠 - NGT48事件史(NGT48暴行事件ほか)
- 中井りかさんと山口真帆さんについて - NGT48事件史(NGT48暴行事件ほか)
- 秋元康 - NGT48事件史(NGT48暴行事件ほか)
弁護士・法律・行政文書
その後の活躍