中井りかさんに、「絶対見て!」とSHOWROOM配信で強く勧められ、映画「余命10年」を見てきた。
確かに素晴らしい映画だった。
無駄な物が一切無い秀作だった。
以下、完全にネタバレ感想。
私は小説や映画の読解は苦手であり、感想文も不得手だが、拙文に御容赦を賜りたい。
…長文を書き始めたがうまくまとまらなかったため、まず1点だけ感想を書く。
原作は読んでいないため、あくまで映画の感想になる。
※以下、全て敬称略とさせて頂く。
「橋」について。
日暮里駅の橋のシーンを見た時、
「山手線の駅もあちこち改築が進んで、古い感じのレトロな絵が撮れるところって多く無いよな…
日暮里駅も半分は改築されたけど。
監督の好みかな」
くらいに思った(この時点で気付かない自分の読解力の無さ)。
だが終盤
真部和人(坂口健太郎)が、自転車で急ぐシーンで、川を渡る橋のシーンを見てようやく気付いた。
最初は山手線の上にかかる小さな橋だった。
その時、和人はまだ乗り越えるべきものの大きさを知らない。
和人にとっては小さな橋だった。
日暮里で、二人は橋の真ん中にいる。
茉莉と和人は互いに寄り合っている。
だがその時には、茉莉の嘘があった。
その橋は、和人にとってはその小ささで、茉莉が真ん中にまで来ていたものだった。
だが次の橋は…
どこの橋かまでは1度見ただけでは分からなかったが、おそらく荒川にかかる橋ではないかと思われる、大きな橋だった。
大きな川で隔てられた二人。
不器用な二人が距離をとっていた川。
川の両側で、
茉莉は小説を書き上げ、
和人は店を開くまでに成長する。
その川を越えて、茉莉の原稿が届く。
その川にかかる大きな橋を渡り、和人は自転車を飛ばす。
自殺未遂者だった男と、余命10年だった女。
乗り越えるべき川を渡り、成長し合った二人が再会する。
二つの橋は、高林茉莉(小松菜奈)と、和人の二人を結ぶ橋。
その下にあるのは、二人が乗り越えてきたもの、乗り越えるべきものの大きさの象徴だった。
あの橋を渡る和人を見るとき、「頑張れ!急いで!」と思わない人は居ないだろう。